Interview

インタビュー

株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン 最高財務責任者 酒井敦史氏

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 IPOプロジェクトのチームは何名体制だったのですか?

実質2名です。経理の時の後輩が経営企画に異動していたため、その彼が最初にプロジェクトメンバーに選ばれていたんですが、全然回らないというので、酒井もやってと指示されまして。
もちろん資料を作るにあたっては各営業部門に事業説明のパートはお願いしましたけど、ハンドリングは2名でやっていました。証券会社や監査法人、取引所などとのやり取りも直接していたので、毎日が勉強でしたね。IPOでは良くある話ですが、1週間で6日間タクシー帰りもありました(笑)。

 当時のご年齢は?

30歳くらいです。当時は主幹事の公開引受部課長さんに本当に鍛えてもらいました。
2度トライして、結果的にはいずれも上場を取りやめているんですよ。プライシングが合わないとか、諸々の環境もあって。
ITバブルがはじけて、なかなか株価がつかないという時期ではあったのですが、それでも通常のIPOであれば進めてしまっておかしくないという状況でした。
ただ、大手商社のグループ企業ということもあったので、親会社としても一定以上の価格でなければ上場の意味がないというのもあって、諸々パワーバランスの中で、方針が決まっていったんです。

でも、忘れられないのが、1度目のとき「酒井どうする?」って当時の社長に聞かれて、「今はやめましょう」って答えたんですよ。本音はすごく悔しかったんですけど、「やめましょう」って。「この状態でこの株価だったら上場しない方がいいと思います」と。

 よく言えましたね。

本当にそうですよね。今となっては笑い話ですけど、その時は役員会の席上で本当に悔し涙を流しながら話しましたよ。それほど実務担当者としては悔しかったんですよね。

 その年齢で、すごいと思います。

でもその後、さらに経済環境も悪化して、結局IPOはできなかったんですけれど、IPOはできる時にしておいた方が良いというのも一つの学びになりましたね。

なるほどですね。
その後、現職であるGDOさんとの出会いがあると思うのですが、どのような経緯だったのですか?

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その当時お世話になっていたIPOコンサルの方がいるのですが、その方が実はGDO(ゴルフダイジェスト・オンライン)のコンサルもされていて。もちろん守秘義務の関係で当時の僕は知らなかったんですけれど。
GDOが上場した後、その方がGDOのCFOに転職されたんですよ。
その方には「GDOに来ないか」と誘っていただいたんですが、お断りをしていたんです。
それが、5年ほどCFOを務められた後に、その方が「社長業の道に進む」ということを希望されて退任することになりまして。それで社長の石坂から「後任を見つけてほしい」と言われたそうなんですが、そこから改めて強い誘いをいただくようになりました。

 どのようなお誘いだったのですか?

その当時、ちょうどゴルフをよくやっていまして(笑)。社会人になってから、上司や先輩に誘われてよくゴルフに行くようになっていたんですよ。
そういうことを前CFOの方は知っていたので、「ゴルフ好きだよね、酒井さん!?ゴルフの会社でCFOなんて最高でしょ」みたいな話をされて(笑)。
だいぶお誘いいただいたので、それであれば一度お話しだけは聞きに行ってみようと。

まずはオフィスで社長と話をさせて頂きました。そこから社長と私を紹介いただいたCFOと私の3名で、(会社近くの)オークラのバーで17時頃から飲み始めて…(笑)。そこに執行役員の2人が合流して、結局5人で夜中まで。ずっとしゃべりっぱなしでしたよ(笑)。
でも、6時間・7時間・8時間と、熱くビジネスの話をしているんですよ。普通、少しは関係ない話も出てくるものじゃないですか。この人達すごいなって思ったんですよね。
当然ですけど、とても事業に対する思いが強くて、人としても非常に信頼できる方々だっていうことも分かってきて。
その場で、この人達と一緒に働きたいなと思ったんですよ。

 とても良い会食の場だったのですね。

今もそうなんですけど、うちは社長も含めて、幹部社員で飲みに行くとだいたい仕事の話をしているんです。当然ゴルフの話が多いので、聞いている人にとっては仕事の話なのか遊びの話なのか分からないと思うんですが(笑)。ただ、基本的にはビジネスの話をしているんですよね。

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 その辺りの雰囲気にも魅かれたのですね。

そうですね。それまでの会社もだいぶ好きなことをやらせてもらっていて非常に満足をしていたんですけど、ある意味これは転機かなと。
その場は一旦持ち帰りましたけど、1週間も経たずに「お世話になります」っていう話をしました。

 ご年齢はおいくつの時ですか?

ちょうど40歳です。周りには「40歳でよく初めての転職の決断ができたな」って言われましたけれど(笑)。
業績の良い商社にいて、それなりの役職についていて、そこそこ給料ももらっていて…、ある程度将来も約束されている中、よく自分からすぐに「入ります」って言えるものだなって(笑)。
でも、そのおかげで今がありますからね。やっぱり人と人の繋がりや、ご縁だと思うんですが、たまたま僕に前CFOが声をかけてくれたからですし、それまでは石坂も含めて当社の人間とはまったく関わりがなかったですからね。

 前のCFOの方の話がなければ、転職は考えていなかったということですよね。

おそらく辞めていないですね。特に不満みたいなものも無かったので。
当時の部下が今は経理部長をやっているので、今頃だいぶ上の役職にいたかもしれないですね(笑)。

 ご決断はご自身のみでされたのですか?

そうです。完全に自分だけで決めました。
この会社の将来像というか、ゴルフというビジネスの将来性、ITとゴルフを掛け合わせるというビジネスモデル、考えれば考えるほど、とてもワクワクしてきて。
経営の一端を担う位置に置いてもらうので、(横柄に言ってしまえば)会社が伸びるも落ちるも自分次第ということもあるなと思ったんですよ。
事実、今も自分が経営の舵取りの一部をさせてもらえているというのは、とてもありがたいことだと思っています。

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 思い切って転職されて良かったですね。

そう思いますね。これほど充実して仕事をさせてもらっているのも様々な方のおかげですよ。
特に社長が石坂でなければ、ここまで好きなように仕事をさせてもらっていないかもしれないですね。

 やはり石坂社長としても、商社を出てベンチャーにという気持ちを強く受け止められたのですかね。

どうなんでしょうね。あまりそこは関係ないかもしれないです。基本的に「やりたい」という人の考えをとても尊重してくれる人柄なので。僕に限らず皆に対してそうなんですよ。

 素晴らしいですね。
GDOさんに参画された当時は主にどのようなミッションであったのですか?

もともとCFOということで入っているので、今と大きくは変わらないです。当時から管理部門全体の管掌をしていましたし。
2009年から2011年にかけて大規模なIT投資をすることになったんですが、その時はこれまでIT業界に身を置いていたことがだいぶプラスになりましたね。

 当時の管理部門は何名くらいの体制だったのですか?

20名くらいですね。今とそれほど変わらないです。

 組織としては経理、財務、人事、総務、法務…、経営企画もですか?

経営企画は別でした。今は独立している人事部門が当時は管理部門の中にありましたね。

 IRは、当時別の方が統括していらっしゃったのですか?

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IRもほぼ私が最初から担当しています。当時のGDOは、事業規模も時価総額も小さく、あまり機関投資家の方からお声が掛かるような会社ではなかったので、今よりはずっと規模の小さいIRでしたね。そこから徐々にご評価をいただくようになってきて、ようやく多くの投資家の方からお声掛けいただけるようになってきました。

 これまでで最も苦しかった時のエピソードなどございますか

苦しかった時ですか…。実はあまりないですね。
もちろん場面場面でやらなければならないことは多々ありますよ。例えば2011年のシステム大規模投資はGDOの命運をかけたプロジェクトでしたし、今年4月に個人情報漏洩の件などもありましたが、「苦しい」とは違う感覚でしたね。やり切らなければならないとか、改善・改良を続けなければならないというような思いが先に立ちましたね。

 何となくですが、これまでのお話を伺っていると、肝が据わっているというか、基本的には直球勝負のようなご性格ですよね。

そんなことないですよ。変化球ばかりです(笑)。
でも(乱暴な意味ではなく)、結局はなるようにしかならないと思っているんですよ。
何かが起きたとして、そこから逃げるのというのは性格的に嫌いですし。起きたことは起きたこととして、そこは一旦受け止めてどう対処していくかと…。
それはCFOの立場だからかもしれないですけど、何かあった時の責任を取ることは一向に構わないので。そういう腹の括りは常にしています。取れる責任はしれていますが(笑)。

 素晴らしいお考えですね。

根がポジティブなんですよ、たぶん(笑)。

 立場的に常に意識されていることなどございますか?

何でしょうね…。できる限り、感情で物事を判断しないようには気を付けていますけれど。
もともと僕って感情的な人間なんですよ。キャラクター的にもお分かりいただけていると思います(笑)。
前の会社ではよく怒鳴っていましたよ。メンバーにもですけれど、上役の方にも平気で怒鳴っていました(笑)。
前の部下からすると「酒井さん、だいぶ丸くなりましたね」っていう評価だと思います(笑)。

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感情ではなく、できる限りロジカルに説明をしようと、理由をつけて物事を判断したりアウトプットしたりしようと、そう心掛けてはいます。できているかどうかは別ですけど、特にメンバーに向けては、そうするように気を付けています。
その代わりというと変ですが、石坂と話す時は好き勝手によく話してしまっていると思います。その時々のアイディアベースで。

 石坂社長との良好な関係性がとても伝わってきます。

石坂はリスクマネジメントが非常に長けていると思うんですね。各場面において本当に様々なことを考えていて、都度、最適な判断をしていきます。
で、僕はどうなの?というと、結構チャレンジングな意見を出したりすることがあって。
うちはCFOがブレーキを踏むのではなく、むしろアクセルを踏み込もうとすることがしばしばありますね。
性格なんですかね。ゴルフでも言えることで(笑)。相当チャレンジングなゴルフをするものですから…(笑)。

 酒井さんから見た石坂社長はどのような方ですか?

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一言でいうと、非常に器が大きい人です。先ほど簡単にお話ししましたけれど、ビジネス上はとても繊細で、誰も気づかないような細かいことにも気が付いたりするんですが、いわゆる人としての器がとても大きいんですよ。

例えば、これをやりたいとか、あれをやってみようっていう提案に対して、とてもリスクマネジメントをしっかりとするのですが、それが懸命に考えられていて、そしてとても熱意をもって提案をしてきたというものであれば、基本的にノーとは言わないですね。まぁやってみなさいと。経営者として尊敬できますよね。お世辞じゃなくて。

 ご年齢も近いですよね?

僕の2つ上です。
生まれ変わってベンチャーの経営者になるとしたら、ああいう経営者になりたいですね。本当にそう思える人です。

 毎日が充実しているというのがとても伝わります。

本当に楽しいですよ。たまに冗談半分で「ゴルフが出来て楽しいですよ~」とか言っていますけど、本音で毎日が充実していると思います。

 立場を置いておいて、単純に仕事を取り組む際に意識してることなどございますか?

人との交流は大切にしようとしています。それは誰とでも。仕事もプライベートもですね。
だからゴルフに誘われたらスケジュールが空いている限り絶対に断りません(笑)

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 それは非常に分かります。酒井さんは、人との距離がすごく近いなと思っていて。
相手の立場に関係なく壁を作られないので、皆さん、親近感を持って酒井さんに話をされているなというのを前から感じていました。

たしかに誰に対しても変わらないかもしれないですね。相手側からしたら「こいつ失礼だな」って思う方がいらっしゃるかもしれないですけど…(笑)。
今の自分があるのも人とのご縁ですから。そういうことを続けてきたので、GDOとも出会えたと思っています。

 人との交流、ご縁、確かにとても大切なことですね。
最後に、今後のビジョンをお聞かせ頂いてもよろしいでしょうか?

会社としては、世界No.1のゴルフサービス企業になることです。世界中のゴルファーの方が常にGDOのサービスに触れているというシチュエーションを早く作りたいです。実際にゴルフをやろうと思ったら…という以外にも、意識しなくともGDOのゴルフニュースを見ているとか。常にゴルフファンの隣にはGDOがいるという世界観を早く実現したいと思っています。

 東証一部に市場変更され、新たなステージでの展開が期待されています。

そうですね。引き続きチャレンジだと思っています。
会社としてステップアップする分、色々な意味でチャンスは広がりますから、しっかりとそれを活かしていきたいですね。

 酒井さん個人としては何か夢みたいなものはあるのですか?

会社としてやっていきたいことがたくさんあるので、個人的なものはあまりまだ無いですね。
強いて挙げるとすると、もっとゴルフをやらないといけないと思っています。
ゴルフに行かない週もあるので、それではいけないなと。もっともっとゴルフをやらないとダメですね(笑)。
【終】

 

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